2026年2月10日ニュースリリース
経済産業省グローバルサウス未来志向型共創等事業 〜アジア版スマート農業システムの社会実装調査を実施〜
株式会社ルートレック・ネットワークス(本社:神奈川県川崎市 代表取締役社長:佐々木伸一、以下当社)は、グローバルサウス諸国の市場活性化と日本との経済連携の強化を目的とした経済産業省「令和5年度補正グローバルサウス未来志向型共創等事業費補助金」のFS(Feasibility Study)事業、「タイ王国/アジアモンスーン地域の気候変動に適応したアジア版スマート農業システムの社会実装調査事業」を実施しましたのでお知らせいたします。
背景
日本の国土は北海道から沖縄まで南北に長く、亜寒帯~亜熱帯気候で且つ四季もあり、高温多湿で中山間地域の多い日本で生まれたスマート農業による精密農業は、食料システムに関するデータを豊富に蓄積しています。日本は、アジアモンスーン地域の東に位置しており、日本の食料システムはアジアの橋頭保として、グローバルサウス全体に適応可能だと考えます。
気候変動による急激な気象変化でも食料を継続的に生産するためには、天候に左右される露地栽培では不安定であり、天候の変化に強く病害虫被害を軽減できる施設園芸による栽培が望ましいです。
日本は、農業人口減・高齢化といった、いわゆる農業の社会課題先進国で、これらの課題解決を目指したスマート農業は、実証段階から社会実装へと移りだしました。これらイノベーターからマジョリティ農家層への移行過程で、日本にはスマート農業の社会実装を進めるための知見が多く蓄積されています。
本社会実装調査事業(以下本調査)では、タイでスマート農業システムの社会実装するため、「Mother-Kids体制」(以下挿絵参照)という体制を構築し、提案技術を普及していくことを計画しました。
Mother-Kids体制とは、栽培技術を修得していない若い新規就農者(Kids)に対して、栽培技術を有する熟練農家(Mother)が、インターネットを通じて栽培のアドバイスを、Kids farmの実際の栽培状況の数値を見ながら教育と支援を行う仕組みで、日本では岩手県のきゅうり農家での成功事例を有します。
本調査では、Motherをタイの農業省傘下の組織、農協、大学のような機関に担ってもらい、安心してKidsの参画を促すことを狙いました。これは、国内における過去のスマート農業の社会実装活動より、実績や導入後のサポートが重視されることに対応する体制となります。また、本調査終了後は速やかに小規模実証事業に移行することを念頭に、適切な機関や体制構築についても本調査を通じて実施しました。

活動内容の概要
タイ現地において、タイ王国の国立大学であるカセサート大学や1921年創業の大手総合農業企業のChia Thai(チアタイ)、タイ王国政府の省の一つであるMOAC(農業・共同組合省)、Boifarmといった農業界の関係者との打合せ等を通じた調査を行い、タイの農業に下記の課題があることを確認しました。
①少子高齢化:高齢化・人口減少といった日本と同様の課題があり、生産性の向上が必要とされている。
➁根拠ない農業:代々受け継がれてきた農法が農学的根拠に基づかない事も多々あり、収量・品質を低下させる要因となっている。
③リテラシー不足:農場長の指示を正確に理解し実施しないスタッフも多く、自動化が求められている。
④スマート農業の黎明期:施設園芸はあまり普及しておらず、ごく一部の農家でしか行われていない。スマート農業システムについても、まだデファクトスタンダードとなるようなシステムは存在していなかった。
⑤作型の未確立:地域や気候、市場需要に合わせた栽培計画・生産技術体系が整っておらず、需要のバランスが合っていない作物が少なくない状況。
上記の課題から、タイにおけるスマート農業の必要性を確認することができました。タイでは、スマート農業はまだ発展途中であり、今後の活動を通して、タイにおけるスマート農業のデファクトスタンダード化を日本のスマート農業技術によって実現できる可能性があることを確認することができました。




今後について
今回のFS事業を通じて、タイの農業課題やニーズの確認を行い、農業のスマート化に向けた現地での体制も構築することができました。本事業により、小規模実証事業を推進する準備が整い、次のステップとしてスマート農業を用いた栽培を実際にタイで行い、効果を実証したいと考えています。また同時に、機能開発とスマート農業のパッケージ化を行い、アジアモンスーン地域に適応可能なローカライズを行うことを想定しています。
本活動を通じて、弊社のミッションである「日本で磨いたデジタルファーミング技術をアジアモンスーン地域に拡げ、持続可能な社会に貢献する」の実現に向けて、取り組んでまいります。
当社代表取締役佐々木のコメント
当社がスマート農業分野に進出した2013年から今日までは、いわゆるスマート農業の黎明期ではないかと思います。この10年間で各ベンダーのアグリテックは、イノベーター生産者には一定規模で導入されましたが、マジョリティ層への浸透には未だ至っていません。これは、農業の発展は技術だけでなく、地域文化の親和と進化が同時に必要だからだと思います。過去10年間の450拠点導入を経て学んできた普及のメカニズムを活かし、新しい農業のカタチを自ら実現するために、長崎県壱岐市にてルートレック・ファームを立ち上げました。ルートレック・ファームが新しい農業文化のモデルとして地方創生に貢献して、アジアモンスーンのMotherとなる事を願っています。
ゼロアグリシリーズについて
2013年に販売を開始したAI潅水施肥システム「ゼロアグリ」は、累計出荷台数450台を超え、これまで多くの農業生産者の作業効率化や生産安定に貢献してまいりました。
ゼロアグリは、土壌センサーや日射情報から作物にとって最適な潅水、施肥量をAIが算出し、最適なタイミングで実行を行うスマート農業システムです。2024年7月には、既存のゼロアグリより、簡易的な機能でより低価格で潅水施肥制御を行うエントリーモデルの「ゼロアグリLite」、また、天窓・側窓の開閉やカーテン・循環扇・加温機・CO₂施用機等の地上部の環境制御まで可能なハイエンドモデルの「ゼロアグリPlus」もリリースし、2025年1月よりゼロアグリシリーズの量産出荷を開始しました。
生産者は、経営状況や課題、実現したいことに合わせて、必要なモデルをゼロアグリシリーズから選ぶことができます。当社の技術のつよみでもある「IoT活用による遠隔管理・サポート」、「データのクラウド管理」、「ソフトウェアの継続アップデート」はすべてのモデルに共通しており、更なるデータ活用型精密農業への移行や、栽培規模の拡大など、営農状況に合わせて柔軟にアップグレードができるシステムで、スマート農業による営農活動を継続的にご活用いただくことが可能です。
ゼロアグリの導入作物実績:トマト、ミニトマト、キュウリ、イチゴ、アスパラガス、ピーマン、パプリカ、ナス、メロン、トルコギキョウ、ブドウ、ナシ、スイカ、マンゴー、レモン、ホウレンソウ、ニラ、イチジク、ブルーベリー、パイナップル
製品の詳細については、こちらをご覧ください。
https://www.zero-agri.jp/product.html
ルートレック・ネットワークスについて
当社は、2005年の創業以来培ってきたM2M/IoT技術を活用して、2010年 総務省 広域連携事業の「ICTを利活用した食の安心安全構築事業」に採択されたことを契機として、明治大学黒川農場との共同研究を開始し、2013年にスマート農業事業に本格参入しました。2018年には、第4回日本ベンチャー大賞(農業ベンチャー賞 農林水産大臣賞)を受賞、同年 経済産業省よりJ-Startup企業、内閣府官邸 先進的技術プロジェクト「Innovation Japan」にも選出されました。
本リリースのお問合せ先
株式会社ルートレック・ネットワークス
TEL:044-819-4711 E-Mail:mktg@routrek.co.jp
※記載されている会社名、製品名などの固有名詞は、各社の登録商標または商標です。
